top of page

「きらい!」と言われて「大好きだよ」と返した、4歳の子の話。——非認知能力とは何か

  • sansanpomirai
  • 4月14日
  • 読了時間: 6分

「見守るべきなのはわかってる。でも、ついロを出してしまう」


子育てをしていると

こんなモヤモヤを抱えることがあるのではないでしょうか。


僕は横浜市都筑区で

3〜5歳の子どもたちと自然の中でゆっくり過ごす保育

森のようちえん さんさんぽをしています。


子どもたちの傍にいて

こういうふうに感じることがよくあります。


子どもたちは、大人が思っているよりずっと、深いところにいる。



この記事では

「非認知能力とは何か」を、教科書的な説明ではなく、

実際に保育現場で起きた場面を通してお伝えします。



非認知能力とは、一言でいうと?


「認知能力」とは、読み書き・計算・記憶力など、

テストで数値化できる力のことです。


「非認知能力」は、その逆。

数値では測れないけれど、生きていくうえで本質的な力のことです。


切り株の↑に木の実を並べ、ままごとをしている子どもたちの手

具体的にはこんなものが含まれます。

  • 自分の気持ちに気づく力

  • 感情をコントロールする力

  • 相手の気持ちを想像する力(共感力)

  • 諦めずにやり抜く力

  • 自分で考えて判断する力


2000年代以降、経済学者ジェームズ・ヘックマンらの研究で

「幼少期の非認知能力が、その後の人生に大きく影響する」と示されてから、

保育の世界でも注目されるようになりました。


ただ、

「非認知能力を育てましょう」と言われても

具体的にどんな場面で育つのかが見えにくい。


だから、現場の話をします。



「きらい!」と言われて、

「大好きだよ!」と答えた4歳児


ある日のこと。

公園で、ちょっとトラブル発生。

2歳の子が4歳のTくんに向かってこう言っています。


I「Tくんのこと、きらい!」


険しい顔で、言い切っています。

さて、Tくんはどう返したか。


T「Tは、Iくんのことが大好きだよ!」


両肩をつかみ

目をしっかり見つめて言い切りました。


さらにもう一度。


「Tは、Iくんのことが大好きだよ!!」


僕はその場にいながら、正直、驚いてしまいました。


「きらい」と言われて、

怒るでも、泣くでも、言い返すでもなく。

真正面から「大好きだよ」と返せる4歳の子が、目の前にいたからです。


これは教えて身につくものでは、たぶんありません。

「きらいと言われても大好きと言いなさい」と指示して、

こんな言葉が出てくるとは思えないですよね。


Tくんの中に

自分のほんとの気持ちと、相手への信頼が

しっかり根を張っていたのだと思います。



「自分の気持ちって、どうやってみるの?」


またべつのある日のこと。

散歩の前に、4歳の子がこう言いました。


A「ねーひがし、きのうの散歩、あんまり面白くなかった」

前の日は、たしかに疲れていたのです。


ひがし「そうだよね、眠かったし疲れてたもんね。

    あのとき、どんな気持ちだったの?」

A「わかんなーーーい」



Aちゃんはこれまで「どんな気持ち?」と聞くと

いつも「わかんない」と返してきていました。


それが悪いわけではないのですが、

もう少し入ってみたくて続けました。



ひがし「自分の気持ち、見てみて」

A「えー、自分の気持ちって、どうやってみるの?」


この質問が返ってきた瞬間、ちょっとうれしくなりました。

「わかんない」で終わらず

「どうやってみるの?」と自分から問い返してきてくれたから。


せっかくなので近くにいた仲のいい友達に振ってみると、

その子が何か答えてくれました。


ガヤガヤしていて僕は聞き取れなかったのですが、

その間、Aちゃんの表情が変わっていきました。


何かを考えている顔。

そして、Aちゃんが口を開きました。


「うーーーーん。

 自分がいま思っていることが、

 自分の気持ち・・・かなぁ??」


この答えに辿り着いた瞬間、とてもいい顔をしていました。



誰かに答えを教えてもらうのではなく、

自分の中で探そうとすること。


これが、非認知能力の根っこにあるものだと僕は思っています。



「心をがっちゃんこするんだよ」


5歳のOくんは、入園したての1歳の妹Aちゃんをいつも気にかけていました。


ある夕方、

妹が不安そうにしているのを見て、

Oくんが僕にこう言いました。


O「Aが、僕が一緒がいいって言ってる」


Aちゃんは無言です。 でも「言ってる」のだそう。ここは信じたい。

でも、ちょっと聞いてみました。

ひがし「どうしてわかるの?」

O「じーって僕を見てるから」


そしてOくん乳児室に入り、

妹を膝の上に乗せました。


ふとOくんに聞いてみました。


ひがし「Oは、Aちゃんの気持ちとか心が見えるの?」

O「うん!見えるよ」(即答)

やはりそうか・・・


ひがし「どうやったら見えるの?」

O「それはね、

 こうやって膝の上にのせて、ぎゅーってするんだよ。

 そしたら心が、がっちゃんこするんだ!」


二人の心が一つになるから・・・ってことでしょうか


「共感する」という言葉を知らなくても、

Oくんはその感覚をすでに持っていました。

そしてそれを、彼は自分の言葉で表現しました。




非認知能力は、「教える」ものではなく「育つ」もの


これらのエピソードから気づくことがあります。


どのエピソードも、

大人が「これをしなさい」と教えたものではありません。


「きらいと言われたら大好きと返しなさい」と言われたわけでも、

「相手の気持ちを想像しなさい」と指示されたわけでもない。


子どもたちが、自分の経験の中で

自分の気持ちや心と向き合い、相手と関わりながら

少しずつ身につけていったものです。


または、僕は

”もともとある感覚”なんじゃないか、とも想像してます。


そのために大人にできることは

「教える」ことよりもむしろ

「そのまま、伸びられる。場をつくること」

ではないかと、いまは思っています。



親(大人)にできること、3つ


ざっとここでは3つだけ。

まだまだ書きたりないのですが、まずはここから。



答えを先に言わない

子どもが困っているとき、すぐに答えを出したくなります。

でも、その一瞬を少し待つだけで、子どもが自分で考え始めます。


「どうしたい?」「どう思う?」と聞くだけで

全然違う子どもの反応が見られるようになります。


そして出てきた子どもの答えは、

まずそのままやってみましょう。失敗は、ありませんから。



気持ちを否定しない

「そんなことで泣かないの」「なんで怒るの」

という言葉は、子どもの気持ちを否定することになってしまいます。


子どもの気持ちが分かったら、

「悲しかったんだね」「悔しかったんだね」と

そのまま受け取るだけで

子どもは自分の気持ちをまっすぐ受けとめられるようになっていきます。



もやもやしていい、と自分(大人側)に許可する

子どもをうまく見守れなかった日、口出ししてしまった日。


それでも、それはそれで大丈夫だと、僕は考えています。

(保育者の場合は、それだけではダメですかね(笑))


親が「完璧にやらなければ」とがんばっているより、

一緒にもやもやしている方が、

子どもにとって安心できる場合もあります。




さんさんぽについて


森のようちえん さんさんぽは

横浜市都筑区・港北区を中心に、自然で一日を過ごす、

気持ちを大切にした保育をしています。


「これをしよう」「これはだめ」という指示はほとんどしません。

子どもたちが自分で考え、自分で動き、

ときにぶつかり合いながら過ごす時間を大切にしています。


保護者の方にも参加していただく「共同保育」のスタイルで

「子どもの見方が変わった」「口出しが自然に減った」という声を伺います。


月1回の「休日さんぽ」から、気軽に参加できます。



山田富士公園で、子どもたちと保育者が一緒に遠くを見ながら会話している写真

コメント

5つ星のうち0と評価されています。
まだ評価がありません

評価を追加
bottom of page